太平戦争開戦前夜、4年後の敗戦は内閣直属の総力戦研究所に属する若きエリート集団によって予見されていた。
彼らは、奇襲作戦の序盤の有利からの、米国の圧倒的な物量による逆転と戦争の長期化、ソ連の参入すらも予見していたのである。
総力戦研究所の結論は「日米開戦はなんとしても避けねばならない」というものであった。
そうした予見にもかかわらず、日本は開戦へと突き進んでいく。
客観的なデータやファクトの分析を無視し、無謀な戦争へと突入したプロセスを克明に描き、日本的組織の構造的欠陥を描く。
この本に描かれているのは過去の歴史でありながら、同じような日本的組織の構造は現代の日本にも厳然と残されている。
これを多くの日本人が属する組織に置き換えながら読むとなかなか面白いと思う。
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