投資の意思決定をする際に、将来発生するキャッシュフローを割引率を用いて割引くということは過去の記事で述べた通りです。
では、どのようにその割引率はどのように求めればよいでしょうか?
今回の記事では、割引率を計算する方法について説明していきます。
CAPM(Capital Asset Pricing Model, 資本資産価格モデル)は、特定の銘柄に対する投資家の期待するリターンを計算する際に用いる公式です。
CAPMによると、個別銘柄のリスクであるβ(ベータ)と投資家のその銘柄に対する要求リターンの関係は下記のように表すことができます。
リスクフリーレートとは財務省短期証券の国債のように、投資家がリスクを一切負うことのない金融商品に投資した際に得られるリターンです。
リスクフリーレートは時間価値を反映しますので、将来インフレが予測される場合は、リスクフリーの金融利子率に予測インフレ率を加算する必要があります。
マーケットリスクプレミアム: マーケット全体の期待リターンとリスクフリーの金融資産の期待リターンの差を示します。
投資家がリスクフリーではない金融商品に投資するというリスクを負うことで得ることができるプレミアム(超過リターン)を指します。
なお、マーケットリスクプレミアムは過去のリターンから計測することになりますが、その際のリスクフリーレートは現時点のリスクフリーレートではなく、マーケット全体の期待リターンを測定する際と同期間のリスクフリーレートを採用する必要があります。
リスクフリーレートとマーケットリスクプレミアムは全ての銘柄に対して同じ数字を用います。
唯一異なるのはβです。βが高くなれば、結果としてプレミアム部分が大きくなり、投資家による要求リターンが高くなります。
余談ですが、ギリシア文字でBであるβは「リスク」を意味しますが、ギリシア文字でAであるαは市場に対する「超過リターン」を指します。
以上を踏まえると、市場全体のリターンや、マーケットリスクプレミアム、β、個別株式の要求リターンの関係は下図のように表現することができます。
βが大きくなるについれて、その銘柄に対する要求リターンは大きくなり、β=1の際にマーケット全体の要求リターンと等しくなります。
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