成功を収め持続している企業は、戦略が流れと動きを持った「ストーリー」として組み立てられている。
戦術や戦闘などの現場レベルの施策はそれぞれが個別になされるべきものではなく、戦略と有機的な繋がりをもってなされるべきものである。
ケースを通じて、一見すると断片的に見える情報や、一見すると不合理に見える各ステークホルダーの意思決定が一つのストーリーとして繋がり、「全体最適」を実現し、他社には模倣できない競争優位性を実現していることを教えてくれる。
本書のメッセージとして非常に興味深かったのは一見非合理的な判断が、全体最適の観点からは、持続的な競争優位を支えていることもあるということである。
むしろ、合理的でしかない意思決定は、より強力な競合企業にとっては当然思いつくものであり、容易に模倣されてしまうという欠点があるのである。
ビジネスの現場で個別の施策の是非を考えるとき、それを単独で評価するのではなく、全体のストーリーの中で考えなければならない。
筆者の機知に富んだ小気味いい文章に魅了され、厚さを感じず一気に読むことが出来た。この本自体のストーリーもよく構成されていると思う。
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